「たわけ」という言葉を聞いたことがありますか?
時代劇のセリフや、年配の方がが叱るときに「たわけー!」と怒鳴ったりするイメージですよね。
今回は、その語源や使い方について調べてみました。
たわけの意味
「たわけ」または「たわけ者」と言われる場合がありますが、どちらも「愚か者」「馬鹿者」を表わし、おもに人を罵る際に使われる言葉です。
実際に言われたことはなくても、「この、たわけ者が!」というセリフ、一度はどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
名古屋弁だと「たぁけ」
この「たわけ」「たわけ者」という言葉、今では全国で通じますが、もともとは名古屋のほうで昔から使われている言葉です。
名古屋風に発音する場合は、「わ」をはっきり言わずに「たぁ~け」と言います。
- 用例
「お前んたらぁ、あんましたぁけたことばっかしとったらかんぞ!」
(おまえなぁ、ふざけたことばっかしてんじゃねえぞ)
なお、最上級の表現として「どたぁけ」「くそたぁけ」とも言われるようです。
たわけの語源
調べてみると、次の2つの説が出てきました。
- 「田分け」説
たわけは「田分け」から来ており、田畑を子どもの人数で分割して相続していくと、どんどん代を重ねるごとに田畑の面積は小さくなり、収穫高も減って家系が衰退することから、そのような愚かなことをする者を「たわけ者」と呼ぶようになったという説があります。
親の財産を平等に分けても、結局は誰もが食べていけなくなる、そんなことはせずに、財産は家督を継ぐ長男にくれてやれ、それ以外の子供たちは冷や飯を食えというんだとか。
- 「戯け」説
「たわけ」という言葉は、もともと「馬鹿げたことをする」「ふざける」などの意味を持つ「戯く(たわく)」という名詞がもとになっています。
実はもともと奈良時代から使われていた言葉だというから驚きです。
かの有名な古事記にも「たわけ」という言葉が登場しています。
当時は「タファケ」と言いましたが、その意味は現代と同じ「馬鹿者」です。
どうですか?どちらも最もらしい内容ですよね。
でも、正しいのは後者の「戯け」説です。
実は、「田分け」説は、「田分け」と「戯け」を洒落た俗説で正しい語源ではありません。
ちなみに、これは昔から落語や漫談でよく使われるネタだったそうです。
知恵袋などで、たわけの意味の回答として「田分け」説を書いている人もけっこう見られたので、こちらを正しい語源だと勘違いしている人も多いようです。
たわけた歌!?
今回、この記事を書くに当たって「たわけ」について調べていると、面白い歌を発見したので最後にご紹介しましょう。
東映版のスパイダーマンに登場した曲らしいのですが、スパイダーマンの敵組織が作った「歌って踊る殺人ロック」なるものだそうです。
「たわけた歌」というのは正式な曲名ではなく、これを聞いたアマゾネスというキャラクターが「こんなたわけた歌を聴いている暇などございませんぞ!」と言ったことから、この名前で広まっているようです。
たわけという言葉が奈良時代にはすでにあったというのが驚きでした。
また、最後にご紹介した「たわけた歌」も、妙にクセになる感じなので、興味のある方はぜひご覧ください。