ご飯を残さずに食べましょうという意味の決まり文句の中に、米粒の一粒一粒に神様が宿っているというものがあります。
しかし実はこの説、人数に様々なバリエーションがあるのです。
ポピュラーなのは3人や7人。しかし、それ以外にもいくつか説があります。
そして、神様がいるということまではわかっていても、実際どんな神様がいるのかはわからないという方も多いでしょう。
この記事では、そんな米粒の神様について解説していきたいと思います。
最もポピュラーなのは7人の神様
米粒の神様の中で最も有名な説は、7人の神様が宿っているという説です。
なぜこれがポピュラーになったのかということには色々な説がありますが、漫画『ドカベン』における主人公の台詞によって広まったということが有力です。
そして7人の神様のメンツ自体にも様々な説があります。
米粒の神様=七福神
七福神は知っているという方もたくさんいらっしゃるでしょう。その七福神が米粒に宿っているという説があります。
七福神の中の大黒天は、大国主命と同一の存在とされていて、農業の神様です。農業の神様が七福神の中にいるために、米粒には七福神が宿っているとされたのかもしれませんね。
大黒天の他には漁業の神の恵比寿天、融通招福の神の毘沙門天、財宝に関する神の弁財天、招徳人望の神の福禄寿、長寿延命の寿老人、笑門来復の布袋尊といった神様が、七福神には揃っています。
いずれも食事に関連づけることはできますし、たしかに七福神がお米の神様でもそれほど違和感はないかもしれませんね。
米粒の神様=七貴神説
七貴神は、五穀豊穣祭の際に祭られるという神様で、大国主命=大黒天とその子神六神を合わせて7人です。
ここで登場する小神の名前は、わかっていません。
大国主命の神説
大黒天=大国主命には7つの別名があり、それらが米粒に宿っているという説があります。
大国魂神、大物主神、顕国魂神、大国主神、志固男神、八千穂神、大己貴神といったメンバーです。
ここまでで言えることは、少なくとも7人というメンバー設定の場合、お米には必ず大黒天が宿っているということです。
7人覚えるのは大変ですし、具体的な神様もあまり正式な説というものはありませんので、とりあえず農業の神様である大黒天が宿っているため、お米は大事に残さず食べなければいけないということを覚えておきましょう。
子どもに教える場合は、農家の人が大事に作ってくれたということなども合わせて教えると効果的ですね。
3人の神様は天照大神など
続いて、3人説を解説します。この説における3人の神様は、天照大神、大宜都比売、大国主大神というメンツが揃っています。
大国主大神は、大黒天のことですね。つまり、3人パターンでもやはり大黒天はメンバーに入っています。
天照大神は、日本神話における有名な神です。伊勢神宮で奉られていることで有名ですよね。
岩戸に隠れたけれど外から聞こえるお祭りの音で出てきたという話も聞いたことがあるという方が多いのではないでしょうか。
尼照大神は天皇の先祖にあたる神様であるため、現在まで皇室では稲作などに関する神事が行われています。
そして大宜都比売ですが、こちらは米を産んだとされている神様です。
88人説
米という漢字をバラバラにすると、八十八という漢字にすることができますよね。そのため、88人の神様が宿っているという説があります。
この説では、具体的にどの神様が宿っているということはとくに言われていません。
88人の具体的な説はないということですので、88人の神様のメンツを考えて見るのも楽しいかもしれませんね。
ちなみに、ここまでに紹介していない中で米に宿っている神様と言われているのは稲荷神、二ニギ、田の神、ホオリといったメンバーです。
88人考えてから、カードゲームにして遊んでみても楽しいのではないでしょうか。
6人説もある
「米俵一俵には6人の神様が乗っている」という慣用句があるために、6人であるという説があります。
問題は、この6人に特に理由も説もないということです。
そして、今までは米の一粒に関する神様でしたが、ここでは一俵というかなり大きな単位での神様です。
一粒に6人ですと、ちょっと多すぎる感じはしますよね。しかし、一俵ですとたしかに6人はいてもおかしくないように感じられます。
もしかしたら元々は一俵の説が主流で、それが「残さず食べよう」という教訓の関係で一粒に変化していったのかもしれませんね。
6人というのはキリが悪いので、奇数である7人に追加されたということも考えられます。
以上が、米粒の神様に関する様々な説となります。正解はありませんが、とにかくお米はここまで様々な説が唱えられるほどに大事なものである、ということはわかったのではないでしょうか。
やはりお米は残さず食べたいものですね。