夏になると活躍を始める蚊取り線香、今年もそろそろ物置の中から陶器の蚊取り豚を取り出す季節になってまいりました。
ところで、蚊取り線香は専用の容器や灰が散らばらないように受け皿などを設置するのが必須ですが、うっかり火事になってしまった、などというお話は聞いたことがあるでしょうか。
火災報知器の設置された住宅ではその煙で誤作動を起こしてしまうのではないか、と言う心配も。
ことの真実はどのようなものなのでしょうか、調べてみましょう。
火災報知器の設置義務と、その仕組み
火災報知器の設置義務は市町村各自治体などにより異なってきますが、消防法の改定により平成18年6月1日以降、新築工事や改築工事を着工する住宅は、全て設置の対象になりました。
罰則はありませんが、火災から家族や自分の命を守るため推奨されているので罰則がないからと言って義務を怠るのはやめましょう。
さて、火災報知器ですが火災報知器には煙感知と熱感知の両方で火事を察知するシステムとなっています。
この煙感知のシステムは簡単に言ってしまえば煙によって取り入れる光が減った!と認識したときに装置が作動し火事だとしらせます。
煙というのは燃えるものによって濃度が違ってきます。
火事の煙を見たことがある場合お分かりでしょうが、真っ黒くちょっと先のものまで見えなくなってしまう色をしています。
当然その煙は光を遮り、火災報知器も「これは火事だ」と認識し発動します。
熱感知については何度から、と明確な設定基準がありますが「蚊取り線香の煙で火災報知器が作動するか」と言うお話とは別になってきますので説明は省きます。
蚊取り線香の煙では火災報知器は発動しない
煙による光量によって火災報知器が作動する、となると蚊取り線香の煙で火災報知器が作動するか否かがわかってきます。
蚊取り線香の煙は白く、たとえ滞留し室内が煙くいぶされても光を遮るまでには至りません。
限度は必ず存在するでしょうが、通常使用で蚊取り線香の煙が火災報知器を作動させる域にはならないのです。
蚊取り線香で火事になる可能性はある
国内での主な火事の原因は原因不明が30%、放火が20%です。
次いでどちらとも判定できない調査を有するものが10%、コンロが10%、その次にくるのがタバコ・9%です。
タバコが原因と思われる数字を意外と少ない割合だと思うのも、全体の1割以上じゃないかと思うのも受け取り手側の捕らえ方しだいです。
蚊取り線香はタバコの火と似ています。
タバコについた火を見たとき、それ単体で大きな火事になるとはちょっと考えられない弱弱しい火をしています。
ですがこの弱弱しい日が全体の1割を占める火事の原因なのです。
無論、火事になるのはその弱弱しい火を大きくするだけの要因、ティッシュであったりタオルであったり、燃えやすい何かが作用してのことです。
2007年の5月、沖縄は那覇市で民家が全焼した事件は蚊取り線香が引火したものからと報道されました。
蚊取り線香の火をつけたまま外出してしまい火の後始末をしなかったため火事へと発展した事件です。
毎年必ず、と言うほどの頻度ではありませんが蚊取り線香を侮って火事になってしまった事例は他にも沢山あります。
未然に火事を防ぐために
蚊取り線香は火点と接触しても大丈夫な専用の入れ物、灰の受け皿など火を扱う上で火事にならないように様々な手段を講じています。
それでも「絶対にない」「火事にはならない」とは言い切れないのです。
火を使う上では管理、観察は怠ってはいけません。
だからと言って夜通し使うのにずっと起きているわけにはいきません。
就寝時に蚊取り線香を使う場合は、専用の容器はもちろん、蹴飛ばしてしまったり、扇風機で燃え灰が散らばらない場所に起きましょう。
無論、周りに燃えやすいものがないかも確認し、安全に使用するよう心がけましょう。
途中で蚊取り線香を消したい場合はきちんと火の後始末をしましょう。
火事は怖いものですが、怖いから便利な手段を封印するというのは勿体無いことです。
何事も使う側次第ですから安全さえ心がけておけば何をするにも怖いということはありません。
今年も蚊取り線香の活躍する季節です。
いつも通り安全に使い、安心な夏をすごしましょう。