使っていると、アレ?これ本当にただしかっただろうか?と思う言葉が多い日本語。
別に難しい言葉を使っているわけではなく日常に紛れ込んだ、極当たり前に使う言葉がふとした瞬間に本当に正しいのかどうか気になってきてしまうことありますよね。
現代は気になったことであればちょっと調べれば直ぐに答えを探し出すことのできる環境がそろっているのはとても便利なことです。
今回の気にかかった言葉は『夜分』『夜分遅くに、』という言い回し。
さて、この日本語、正しい使い方をあなたはご存知でしょうか。
〝夜分〟 とは、
よく聞く言い回しは「夜分遅くに失礼いたします」や「夜分遅く恐れ入ります」などですが、この日本語を聞いて、ん?と思われる方がいたらそれは隠れた意味を普段から気にかけて言葉を使っているというあらわれかも知れません。
夜分には「夜遅くに」という言葉の意味が込められているのでは?と推測してしまうと、「頭痛が痛い」などという重複言葉になってきているのでは、と認識してしまうのです。
ですが、この「夜分」には「夜中」という意味しか込められていないので、「夜分遅くに」という使い方は決して間違いではないのです。
「夜分遅くに失礼します」「夜分遅くに恐れ入ります」「夜分遅くに申し訳ございません」どれも正しい言い回し使い方なので、気にして訂正するほどのものでもないでしょう。
「夜中」を意味する言葉ですから、使用できる時間はおおよそ午後11時台~午前2時台になります。
ただし、夜中というのがもう既に「夜遅い」時間を表す言葉でもあるので、気にかかるかたは「夜分恐れ入ります」「夜分失礼します」という「遅く」という言葉を省いた使い方をしても問題はありません。
日本語って面白いですね。
ビジネスシーンにおける〝夜分〟
「夜分遅く」と表現するのは決して間違った言葉ではなくビジネスシーンのメールにも使用することが可能ではありますが、〝夜分〟に対する言葉の意味の認識から、使い方にちょっとした違和感を持つのはメールをもらう側にも感じられることです。
無難に「夜分『遅く』失礼します」の遅くの部分を省いた「夜分失礼します」での表現の方がスマートに感じられるかもしれません。
ビジネスシーンでのメールのやりとりは何よりも挨拶が重要となってきます。
きちんとした挨拶と相手への気遣いがあれば夜遅くに送信されたメールであれ、着信通知によって静かな夜の時間を妨害することに繋がってしまうことがあったとしても挨拶さえきちんとしていれば、仕事に熱心なんだなあ、と理解してもらえるでしょう。
英語表現の『夜分遅くに』
ビジネスシーンでは英語を使われている方もいらっしゃると思いますので、英語表現も見ていきましょう。
夜分を英語約すると『 night time 』、日本語に直訳しなおせば夜時とも言い換えることができるでしょう。
夜分遅くに失礼します、を丁寧に表現するならば『 I’m sorry to ○○ at this time of night.』、○○の場所には自分がした動詞や相手におこなった行為が入ってきます。
『Night is late』と訳す場合もあり、その全てが「夜の時間」「夜の遅い時間」として再翻訳することができます。
日本語の表現は、婉曲であり良く言えばやわらかく、悪く言えば曖昧な言葉が多い言語なので英語に訳するときは言葉の意味は同じだけれど、ニュアンスはちょっと違うんじゃ……と言う訳し方が多く出てきます。
違和感が強いときはムリに「夜分」を英語として通すのではなく「夜も遅い時間」として翻訳してみるのがストレスのない言語の理解に近いかもしれませんね。