古くから昔話などの様々な日本の原風景に描かれるタヌキ。
姿かたちは良く見知ったケモノでありながら、その実態をよく知っているとはいえません。
昨今では都市部にも出没し、少し馴染むと愛着がわいたりしたりして、家で飼ってみたいと思ったり。
でも、タヌキをペットとして飼う、そんなことがでできるのでしょうか?
少し調べてまいりましょう。
哺乳綱ネコ目イヌ科タヌキ属、たぬき
タヌキは家畜や養殖魚などが被害を受けるとして害獣指定とされている動物です。
イヌ科ではありますが、種としては非常に臆病ゆえに凶暴で人に懐きにくく、ペットとして飼うのは不向きとされています。
性質は夜行性であり、食性は雑食。
冬に備えて秋口から脂肪を蓄えるためそれは旺盛に食べます。
なんでも好き嫌いせず食べるのは良いことですが、人の農作物、養殖種までお構いなしに食べ荒らすので人にとっては迷惑な動物といえます。
近年では豊富なゴミをえさとして認識し都心でも生活しているものもいます。
複数のタヌキが同じ場所をトイレとして利用する溜フンという習性があり、衛生上もよろしくなく、この二点が害獣指定を受ける最たる理由となります。
たぬきと鳥獣保護法
タヌキは害獣指定をうけている、と記述しましたが、正しくは鳥獣保護法によって狩猟が認められている動物であることが定められています。
このため野生の成獣をそのまま飼育するというのは認可なくしてはできません。
実はタヌキを飼育するために国や自治体から発行される正式な「許可証」は存在しませんが、この鳥獣保護法のもと狩猟解禁期間中に保護したタヌキに対し「生涯飼養許可」を申請し保護することは可能です。
狩猟解禁期間は本州であれば11月15日~2月15日、可猟地域は自治体に問い合わせれば教えてくれます。
ですが、タヌキ自身が病気や要保護でなければ殆どが「放獣」もしくは「殺処分」のいずれかを選択するように言われ、「生涯飼養許可」が降りることは稀です。
野生でなければブリーダーやペットショップでの購入ならば可能かといえば、国内に養狸場やブリーダーはほぼ存在しない、と言う記録しか探し出すことができません。
同じくペットショップでの販売に関しても販売実績が現存する記録は見当たりません。
本当に運よくめぐり合った要保護対象のタヌキでなければペットとして迎えるのは難しいということです。
人には懐くことがない理由
それこそとても小さな幼獣から人に慣れさせ、親や目上として認識させ懐くか懐かないか、という動物です。
イヌ科だから、と安易に上下関係を覚えさせることが可能な動物として認識すると手を噛まれて大変なことになるので野生の成獣に軽はずみに手を出すのはやめたほうが懸命でしょう。
タヌキは臆病な性格ゆえ、躾の過程でしかったりなどして一度でも敵と認定されればそれを覆すことがありません。
犬猫であれば覚えることもその性格ゆえに相手を敵視し性格が攻撃的に転じるのです。
最初から攻撃的な性格だから、と言うわけではなく臆病ゆえに自分を護るため攻撃性が強まってしまうのです。
運よくタヌキを飼育できたなら
幼獣から育て、こまめにお風呂に入れれば、高確率で人になれ、懐くこともあるでしょう。
ですが慣れるのは世話をしていた1名であったり、家人のみであるため他人との接触には十二分に注意が必要です。
もちろん固体固体の個性や性格も反映されますが、生き物を育てきる以上の覚悟が必要となってくるのは明白です。
環境やご自分の生き物を育てるスキルなどとよくご相談の上、入手方法を検討してみてくださいね。