鮮やかな緑色に大きな二つのカマ。
見る人から見れば格好良く、見る人から見ればとても怖い虫、カマキリ。
このカマキリ、多くは寄生虫に寄生されてるってご存知ですか?
ハリガネムシの名前を聞いたことはあるでしょうか。
あまり知られていない、けれどもカマキリにとっては恐ろしい寄生虫ハリガネムシ。
ご紹介してまいりましょう。
ハリガネムシの寄生
ハリガネムシはその名の通りハリガネのような細長い生き物です。
シンプルな見た目に反して複雑な生態系をしておりその生き方は奇妙そのもの。
ハリガネムシが生まれるのは水の中であり、小さな小さな状態でボウフラやトンボの幼虫・ヤゴ、カゲロウなどに食べられるのをじっと待ちます。
まずは小さな虫に捕食されることで一旦の仮住まいを得て、カマキリやコウロギなど、この小さな虫を主食とする宿主を探すのです。
カマキリの多くが寄生されていると表記したのは、すべてのカマキリがハリガネムシを有した仮住まいの虫を食べているわけではないからです。
ですが高確率で餌の体内にハリガネムシがいる場合が多いのでカマキリは寄生され、ハリガネムシは宿主を得るわけです。
ハリガネムシに寄生されたカマキリはそれとは知らずにハリガネムシを体内で育てます。
カマキリの体内で成長したハリガネムシは成長しきると宿主を捨て最終的に水辺に帰るわけですが、陸上生活をする宿主の体内にいるわけで水辺にすぐ戻ることは出来ません。
そのため一時的にカマキリの行動を操り、カマキリを水辺へ落とし込むのだそうです。
陸上生活をする虫に取って水場はある種の危険地帯であり、入水すれば死ぬことがほとんどです。
それに構うことなくハリガネムシはカマキリを操り入水させ、水場にいることを認識するとカマキリの体内から出ていきます。
そうして水場で卵を産み、自分の生のサイクルを回すのです。
人間に寄生する?ほんと? いいえ、うそ
人間の爪と肉の間から侵入し、人間に害をなす、なんて都市伝説が存在しているようですが、ハリガネムシにはそんな力もなければ、人間の皮膚を破る強度もありません。
人間には寄生しないのです。
素手でつかんでも人間の皮膚を食い破るわけではありませんし、侵入してこようともしません。
そもそもの寄生方法が食べられるのをじっと待つ、の受け身なので積極的に寄生することはないのです。
しかし、人間の体内から発見される例がないわけではありません。
多くは寄生された、と言うよりも偶発的な事故であり、川遊びをしていたらうっかり水を飲んでしまい、体内で成長したハリガネムシが喉を上がってきた、などという恐ろしい報告があります。
害はありませんが、身の毛のよだつ話です。
犬や猫がカマキリを食べてしまって、体内にハリガネムシがいる場合も厳密には寄生されたことにはなりません。
ただ体内に『居る』と言うだけで害を及ぼしませんし、口から出てくるか、排泄されるかのいずれかによって体外へ出てきます。
気持ち悪いには悪いですが、虫ほどにか弱い生き物でもない限り心配するほどのことではないのです。
カマキリからハリガネムシを出すには
カマキリのお尻の部分を常温の水道水につけます。
ハリガネムシは水を察知するとニュルニュルとでてきます。
ハリガネムシに寄生されているカマキリはハリガネムシが出ても出なくても弱っており、子孫も残すことは出来ませんし、すぐに死んでしまいます。
意外というか、当然程度にショッキングな映像ではありますので、動画を観覧する際には心の余裕をもって見てくださいね!