今も昔も子どもに人気のダンゴムシ。
丸まった姿は愛らしいものがありますよね。
それとよく間違えるのがワラジムシ、通称「便所虫」です。
名前のほかは意外と知らない2つの虫について、解説していきましょう。
なんと、虫じゃなかった!
実は、ダンゴムシもワラジムシも甲殻類ワラジムシ目の節足動物で、昆虫ではありません。
両方とも名前に「ムシ」とつくものの、虫ではなくカニやエビの仲間なのです。
そして、見た目や生息環境が似通っており、一見しただけでは違いがわかりません。
簡単な見分け方としては、さわったときに丸くなるのがダンゴムシで、変化がないのがワラジムシです。
また、ダンゴムシやワラジムシには交替性転向反応というおもしろい行動習性があります。
これは、分岐路で方向を変える場合、2度続けて同じ方向には曲がらないという反応です。
つまり、常に右、左、右、左と交互に進路を変えて前進するというわけです。
この習性を利用して、ダンゴムシ迷路という化学遊びも子どもの自由研究などでよく行われていますね。
また、このアリやゴキブリにも同様の習性を持っています。
意外な利用法をもつダンゴムシ
日本で一般的にダンゴムシと呼ばれるのは、オカダンゴムシという種類で、ヨーロッパが原産です。
落ち葉を食べ、微生物が分解しやすい状態にする性質から、土壌を豊かにする「自然界の分解者」ともいわれます。
ただ、農作物の葉や茎も食べるので、駆除の対象となることもあります。
また、意外にも、乾燥させると鼠婦(ソフ)と呼ばれる漢方薬の材料になります。
効能は、利尿作用。興味があったら使ってみるといいでしょう。
さらに、毒のないダンゴムシは災害時の非常食としても利用できます。
世界中に1,500種!今なお新種が増え続けるワラジムシ
一方、ワラジムシは、縁の下や草の生えた地面によく見られます。
人家周辺に出るうえに、ダンゴムシと同様植物を食べることから不快害虫とされることが多いようです。
ダンゴムシも「ワラジムシ目」に属しているように、ワラジムシの仲間はとても多いのが特徴です。
海岸でよく見るフナムシや森林でも見かけるヒメフナムシなどもワラジムシ目に含まれ、それ以外のものはすべて「ワラジムシ」と呼ばれています。
現在、世界で1,500種のワラジムシが確認されており、日本でも100種以上が見つかっています。
1980年頃まではほぼ手付かずだったワラジムシの研究も最近では進んでおり、日々多くの新種が確認されているようです。
ダンゴムシ・ワラジムシのまわりは天敵だらけ!
いかにも硬くてまずそうな見た目ですが、意外にも天敵が多くいます。
しかも、ダンゴムシもワラジムシも脱皮をするため、脱皮したてで体が柔らかい時なら天敵だけでなく、仲間に食べられてしまう危険もあるのです。
まず、アリこそが、最大の天敵です。
大勢で囲まれて身動きが取れなくなったところで、殻の隙間にアリの牙が入り込めばおしまいです。
次に、やわらかいイモムシなどを食べるイメージの鳥もダンゴムシたちをくちばしで丸飲みにします。
さらにクモやトカゲ、ヘビなどの爬虫類にも食べられてしまいます。
ダンゴムシもワラジムシも、厳しい自然界の中で、たくましく生きているんですね。
ここまでご紹介してきたとおり、実は虫ではなく甲殻類だった2つの生物。
カニやエビの仲間ということは、多少はおいしいのかも?
試してみる勇気はありませんが・・・。
虫嫌いの方にはゾッとする話でしょうが、今後注目される昆虫食の分野でダンゴムシが脚光を浴びる日が来るかもしれませんね。
ダンゴムシの記事はこちらにも書いています。